あえ-な・し 意味
関連用語
あえ-な・い: アヘ― [3] [2] 【敢え無い】 (形) [文] ク あへな・し (「あへ」は動詞「敢(ア)ふ」の連用形) (1) 予想していたよりもろく,はかない。あっけない。「―・い最期」「―・く敗れる」 (2) 期待はずれで拍子抜けがする。「御使もいと―・くて帰りまゐりぬ/源氏(桐壺)」 (3) いかんともしがたい。しかたがない。「誰も あやしう―・きことを思ひ騒ぎて/源氏(東屋
な・し: (接尾) ない
あい-な・し: (形ク) (「あひなし(合無)」か「あいなし(愛無)」か。また,「敢へ無し」の転か) (1) 道理にはずれている。あるまじきことである。「いで,その御文なほ,聞え給へ。―・し/源氏(夕霧)」 (2) 自分の志と違って,いやな気持ちだ。不本意だ。「おのづから聞きつけて,うらみもぞする,―・し/枕草子 270」 (3) どうにもならない。むだである。「今更いと―・く便なかるべきわざなるを/浜
あずき-な・し: アヅキ― (形ク) (「あじきない」の古形) 無益だ。かいがない。「面形(オモカタ)の忘るさあらば―・く男じものや恋ひつつ居らむ/万葉 2580」
あぢき-な・し: (形ク) あじきない
あと-な・し: 【跡無し】 (形ク) (1) 痕跡(コンセキ)がない。あとかたもない。「漕ぎ去(イ)にし船の―・きごとし/万葉 351」 (2) むなしい。はかない。「我(ア)が恋ふる―・き恋の止まなくも怪し/万葉 2385」 (3) 人の訪れることがない。「―・き里をうづむ白雪/秋篠月清集」 (4) 根拠がない。事実無根だ。「―・き事にはあらざめりとて/徒然 50」
あと-はか-な・し: (形ク) (1) 痕跡(コンセキ)がない。行方を知る手がかりがない。「たづねきこえ給へど―・くて/源氏(若紫)」 (2) 頼りない。心細い。「いと―・き心ちして/源氏(玉鬘)」
あや-な・し: 【文無し】 (形ク) (「文(アヤ)」は物事の筋目の意) (1) 筋道が立たない。条理のない。理不尽だ。「春の夜の闇は―・し梅の花色こそ見えね香やは隠るる/古今(春上)」 (2) かいがない。むだだ。「思へども―・しとのみいはるれば夜の錦の心地こそすれ/後撰(恋二)」 (3) 物の判別がつかない。はっきりしない。「星さへ雲におほはれて,道も―・く物すごき/浄瑠璃・ひらかな盛衰記」
あらけ-な・し: 【荒けなし】 (形ク) (「なし」は,はなはだしい意の接尾語) ひどく荒々しい。乱暴である。「もののふの―・きにとらはれて/平家 11」
いとき-な・し: 【幼きなし】 (形ク) おさない。いとけない。「―・き手して,…むろの枝につけたまへり/蜻蛉(中)」
いと-な・し: 【暇無し】 (形ク) いとまがない。忙しい。「―・く今日は花をこそ見れ/後拾遺(春上)」
いや-な・し: ヰヤ― 【礼無し】 (形ク) 礼儀をわきまえない。無礼だ。「百済の王(コキシ)の族酒君の―・し/日本書紀(仁徳訓)」
いら-な・し: 【苛なし】 (形ク) (1) 心が痛む。心が苦しい。「悲しけくここに思ひ出―・けくそこに思ひ出/万葉 3969」 (2) (程度が)際立ってはなはだしい。「わがさまの,いと―・く(=コノ上ナクヒドク)なりにたるを思ひけるに/大和 148」「―・き(=非常ニ鋭イ)太刀をみがき/宇治拾遺 10」 (3) 大げさだ。わざとらしい。「印ことごとしく結び出でなどして,―・くふるまひて/徒然
いろ-な・し: 【色無し】 (形ク) (1) 色つやがない。華やかでない。「もみぢばもぬしなきやどは―・かりけり/古今(哀傷)」 (2) 冷淡である。つれない。すげない。 [日葡]
うえ-な・し: ウヘ― 【上無し】 (形ク) (1) それにまさるものがない。「―・き身とはなに生まれけむ/増鏡(久米のさら山)」 (2) 際限がない。きりがない。「富士の嶺の煙も猶ぞ立ちのぼる―・きものは思ひなりけり/六百番歌合」