い 意味
- (1)五十音図ア行第二段の仮名。五十音図ヤ行第二段の仮名としても重出。前舌の狭母音。
(2)平仮名「い」は「以」の草体。片仮名「イ」は「伊」の偏。
(3)「いろは歌」の第一文字。仮名がしら。
- 【汝】
二人称。相手を卑しんでいう語。お前。
「―が作り仕へ奉れる大殿の内には/古事記(中)」
〔格助詞「が」が付いて「いが」の形で用いられる〕
- 【威】
人をおそれ従わせる力。
「虎の―を借る狐(キツネ)」
――ありて猛(タケ)からず
〔論語+もっと...(述而)〕
威厳があってしかも荒々しくない。君子の理想的な人柄をいう。
――を振る・う
勢威を示す。
「北陸に―・った武将」
- 〔上代語。平安時代には,限られた経典の訓読にのみ用いられ,院政時代以降は消滅した〕
※一※ (格助)
名詞・または名詞的な語に付く。主格を強めて示す。
「いは」「いし」などの形が多い。「紀伊(キ)の関守―留(トド)めてむかも/万葉 545」
※二※ (終助)
{※一※}と同系の語。活用語の連体形よりなる文節に付く。語勢を強める。ね。よ。
「玉の緒の絶えじ―妹(イモ)と/万葉 481」
- 【帷】
垂れ幕。たれぎぬ。とばり。
――を下(クダ)・す
塾を開いて教える。
〔漢の董仲舒(トウチユウジヨ)が,とばりを下げた部屋で勉強や後進の指導を行い,三年間庭を見なかったという「史記(儒林伝)」の故事による〕
- 【斎】
古く神に関連のある名詞に付いて,「神聖な」「清浄な」の意を表す。
「―垣」「上つ瀬に―杙(クイ)を打ち/古事記(下)」
- 【異】
※一※ (名)
違う意見や考え。
※二※ (形動)
妙であるさま。普通と違っているさま。
「―に思う」
→異な
――を挟(サシハサ)・む
他人の考えや意見に疑問を出す。
――を立・てる
別の考え方のあることを述べる。
――を唱(トナ)・える
その考えに反対である旨を表明する。
- 【位】
助数詞。
(1)等級・順位・位階などを表す。
「第一―」「従三―」
(2)計算の位取(クライド)りを表す。
「小数点以下第五―」
(3)死者の霊を数えるのに用いる。
「英霊五十―」
- 【囲】
両手を伸ばして抱えるぐらいの大きさ・太さを計るのに用いる。
「百―に余る大木/太平記 24」
- 【偉】
大きくて立派であること。すぐれていること。また,そのさま。
「高論寔(マコト)に―にして妙なり/慨世士伝(逍遥)」
――とするに足(タ)・る
賞賛するだけの価値がある。偉大である。
「―・る人物」
- 【蜘糸】
クモの糸。クモの巣。
「露にてもいのちかけたる蜘蛛(クモ)の―に/蜻蛉(下)」
- 【意】
(1)心の働き。思っていること。気持ち。考え。
「―のままに振る舞う」「―に反する」「―を新たにする」
(2)意味。わけ。
「打ち消しの―を表す助動詞」
(3)〔仏〕 感覚を除いた,思考などの心の働き。
――余って言葉足らず
言いたいことがたくさんあって,それを言葉で十分表現しきれない。
――至りて筆随(シタガ)う
〔春渚紀聞(東坡事実)〕
感興のわくままに筆がすらすらと動いて,優れた文章・詩歌ができる。
――とする
気にとめる。意に介する。多く打ち消しの語を伴って用いる。
「多少の犠牲は―せず」
――に中(アタ)・る
気に入る。希望がかなう。
「思を寄せ争つて其―・らん事を求むる者多し/花柳春話(純一郎)」
――に介・する
気にかける。気にする。多く打ち消しの語を伴って用いる。
「悪口などは―・さない」
――に適(カナ)・う
考えに合う。気に入る。意に添う。
――に染(ソ)まない
その気にならない。気がすすまない。
――に満たない
気に入らない。不満足である。
「―ない作品」
――のある所(トコロ)
(言わんとする)本当の気持ち。真意。
「―をお汲(ク)み取り下さい」
――を受・ける
人の意志・意向を承知して,それに従うようにする。
「首相の―・けて訪米する」
――を得る
(1)理解する。わけがわかる。
(2)思っていた通りになる。満足する。
「我が―得たり」
――を酌(ク)・む
他人の考え・意見を肯定的に推察する。
――を決・する
決心する。覚悟を決める。
――を注(ソソ)・ぐ
もっぱら努力を集中する。力を入れる。
「後進の育成に―・ぐ」
――を体(タイ)・する
他人の意志・意向を自分のものとしてそれに従う。
「社長の―・して交渉に臨む」
――を尽く・す
意見・考えを十分に言い表す。
――を強くする
心強く思う。自信をもつ。
「あなたの支持が得られて―しました」
――を迎・える
他人の意見・意向に従って,気に入られようとする。迎合する。
「大衆の―・える番組」
――を用・いる
心を配る。気を使う。注意する。
「社会福祉の向上に―・いる」
- 【緯】
(1)織物のよこ糸。また,横。
(2)緯書(イシヨ)。
- 【彝】
〔もと中国で,常に宗廟(ソウビヨウ)に供えておく器の意から〕
人の常に行うべき道。常道。常法。
→彝器(イキ)
――を秉(ト)る
〔詩経(大雅,烝民)〕
人の道を固く守る。
- 【五】
ご。いつつ。多く他の語の上に付いて複合語として用いられる。
「―百((イオ))」「―十((イソ))」
- 【井】
(1)井戸。掘り井戸。
(2)泉や地下水をためた水汲み場。
「安積香山影さへ見ゆる山の―の/万葉 3807」
――の中の蛙(カワズ)大海(タイカイ)を知らず
狭い世界に閉じこもって,広い世界のあることを知らない。狭い知識にとらわれて大局的な判断のできないたとえ。井の中の蛙。井蛙(セイア)大海を知らず。
- 【胆】
胆嚢(タンノウ)。きも。
「熊の―」
- 【五十】
ごじゅう。いそ。多く他の語の上に付いて複合語として用いられる。
「―日((イカ))」
- 【堰】
「いせき(堰)」に同じ。
- 【居】
〔動詞「居る」の連用形から〕
いること。座ること。また,その場所。多く他の語と複合して用いられる。
「家―((イエイ))」「立ち―」「―もさだまらず/枕草子(四二・能因本)」
- 【藺】
イグサ科の多年草。北半球に広く分布。茎は高さ1メートルに達し,節がない。葉は退化して少数の葉鞘(ヨウシヨウ)が茎の基部につく。夏,茎頂に淡緑色の小花を密につける。栽培されて茎は花筵(ハナムシロ)・畳表などの材料とし,髄(ズイ)は灯心にした。イグサ。灯心草。﹝季﹞夏。《―の水に佇めば雲流れけり/大橋越央子》
- 【猪・豬】
イノシシ・ブタの類の称。特に,イノシシのこと。
「山口大菅原を牛は踏む―は踏むともよ民な踏みそね/琴歌譜」
- 【伊】
「伊太利(イタリア)」の略。
「日独―」
- 【寝】
眠ること。睡眠。
「朝―((アサイ))」「熟―((ウマイ))」「真玉手玉手さし枕(マ)き股長(モモナガ)に―をし寝(ナ)せ/古事記(上)」
――を寝(ヌ)
眠る。
「家思ふと―ねず居(オ)れば/万葉 4400」
- 【夷】
東方の異民族。野蛮人。えびす。
――を以て夷を制す
〔後漢書(鄧訓伝)〕
異民族を利用して異民族をおさえる。敵国をおさえるのに,他国の力を利用する。以夷制夷(イイセイイ)。
- 【衣】
身にまとうもの。着物。ころも。
「―と食と住と」
- 【医】
病気やけがを治すこと。医術。また,それを行う人。
「―をもって世に尽くす」
――は仁術(ジンジユツ)(なり)
医術は単なる技術ではなく,人を救う道である。
- 【移】
律令制において,直属関係にない役所間で取り交わす公文書。末尾に「故移」または「以移」と記す。移し文。
→牒(チヨウ)
- 【易】
たやすいこと。
⇔難
「難を先にして―を後にし/文明論之概略(諭吉)」
- 【イ】
洋楽の音名。欧語音名 A にあてた日本音名。洋楽音律では,通常440ヘルツのイを基準音とする。
- 【亥】
(1)十二支の一二番目。年・日・時刻・方位などにあてる。いのしし。がい。
(2)時刻の名。今の午後一〇時頃。また,午後一〇時から一二時まで。または午後九時から一一時までの間。
(3)方角の名。北から西へ三〇度の方角。
- 【胃】
(1)消化管の一部で,食道に続く部分がふくらみ,器官としての機能をもつもの。食物を一時たくわえ,消化を行う。ヒトの胃は食道と十二指腸の間にあって一室から成り,胃液を分泌して主にタンパク質を分解する。鳥類では二室,哺乳類の反芻(ハンスウ)類では四室に分かれる。胃袋。
「―がもたれる」
(2)二十八宿の一。西方の星宿。胃宿。えきえぼし。
- 名詞または名詞的な語に付いて,形容詞を作る。
「四角―」「黄色―」
- 動詞に付いて語調を整えたり,意味を強めたりするのに用いられる。
「―行く」「―隠る」
- 〔終助詞「や」の転。近世以降の語。主として男性に用いられる〕
文の末尾に接続する。
(1)念を押したり,語気を強めたりする気持ちを添える。多く「だい」「わい」「ない」の形をとる。
「これ,ぼくのだ―」「いっぱい食わされたわ―」「むちゃをするな―」「早くしろ―」
(2)質問や反問の意を強める。多く「かい」「だい」の形をとる。
「何か食べるものはないか―」「なんだ―。またこれか」「ほんとに君にできるか―」
(3)軽蔑や投げやりの気持ちをこめて,言い返す場合に用いる。
「なに言ってるんだ―」「勝手にしろ―」「ぼくにそんなことができるか―」
(4)(多く「いの」の形で)名詞に付き,呼びかけの気持ちを表す。
「かか様―の,かか様―のと夜なか時分に泣いて/歌舞伎・傾城江戸桜」
例文
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- 台所をきれいに掃くのを忘れないように。
- 台所をきれいに掃くのを忘れないように。
- この辞書は特に語法に重点を置いている。
- この辞書は特に語法に重点を置いている。
- 息を深く吸ったり吐いたりしてください。
関連用語
い・い: [1] 【好い・良い・善い】 (形) (形容詞「よい」の終止形・連体形ヨイが近世にエイ(エエ)を経て転じたもの。現代の話し言葉では終止形・連体形には,普通,イイが用いられ,改まった場面ではヨイが用いられる。特に,俗語的な表現ではもっぱらイイが用いられる) 「よい」に同じ。「赤いのと青いのとあるけど,どっちが―・い(=ドチラヲ選ブカ)?」「宝くじの一等が当たると―・いなあ」「―・い暮
い-い: [1] 【易易】 (ト|タル) [文] 形動タリ たやすいさま。困難のないさま。「それくらいは―たることだ」
い-ぎたな・い: [4] 【寝穢い】 (形) [文] ク いぎたな・し (「い」は眠りの意) (1) いつまでも眠っている。眠りをむさぼっている。「―・く眠りこけている」 (2) 寝相がみにくい。「枕をはねて―・く眠っている」 [派生] ――さ(名)
い-ざと・い: [3] 【寝聡い】 (形) [文] ク いざと・し (「い」は眠り,の意) 目が覚めやすい。 いぎたない 「年を取ると―・くなる」
い-づら・い: ヰ― 【居辛い】 (連語) そこにいることがはばかられる。「その場に―・い雰囲気になる」
具合(い)・工合(い): ぐわい [0] 【具合(い)・工合(い)】 「ぐあい(具合)」に同じ。 (歴史的仮名遣い未詳)
具合{(}い{)}・工合{(}い{)}: ぐわい ◎ 「ぐあい(具合)」に同じ。 〔歴史的仮名遣い未詳〕 ; ぐわい ◎ 「ぐあい(具合)」に同じ。 〔歴史的仮名遣い未詳〕
具合{(}い{)}・工合{(い)}: ぐわい ◎ 「ぐあい(具合)」に同じ。 〔歴史的仮名遣い未詳〕 ; ぐわい ◎ 「ぐあい(具合)」に同じ。 〔歴史的仮名遣い未詳〕
具合{(い)}・工合{(}い{)}: ぐわい ◎ 「ぐあい(具合)」に同じ。 〔歴史的仮名遣い未詳〕 ; ぐわい ◎ 「ぐあい(具合)」に同じ。 〔歴史的仮名遣い未詳〕
具合{(い)}・工合{(い)}: ぐわい ◎ 「ぐあい(具合)」に同じ。 〔歴史的仮名遣い未詳〕
あお・い: アヲイ [2] 【青い・蒼い】 (形) [文] ク あを・し (1) 青の色をしている。広く緑など青系統の色にもいう。「―・い空」「―・いものをもっと食べる必要がある」 (「あおい空(海)」は「碧い」とも書く) (2) 赤みが足りない。青ざめている。「―・い月」「―・い顔」 (3) (未熟の果実が青いことから) 修行・知識などが不十分だ。まだ一人前でない。「まだ考えが―・い」
あか・い: [0] 【赤い・紅い】 (形) [文] ク あか・し (「明(アカ)し」と同源) (1) 赤の色をしているさま。いわゆる赤のほか,桃色・橙(ダイダイ)色・あずき色・茶色などにも通じて用いられる。「―・い血」「―・い夕日」「―・い髪」「ほっぺたが―・い」 (2) (革命旗が赤色であるところから) 共産主義思想をもっているさま。 あか [派生] ――さ(名)
あか-い: ―ヰ 【閼伽井】 仏に供える閼伽の水をくむ井戸。
あく-い: [1] 【悪衣】 粗末な着物。粗衣。あくえ。
あさ・い: [0] [2] 【浅い】 (形) [文] ク あさ・し (1) 表面や外側から底や奥までの距離が短い。「―・い川」「―・いほらあな」 (2) (外傷について)深く内部にまで達していない。「傷は―・いぞ」 (3) 到達度が低い。十分な程度に達していない。「理解が―・い」「思慮が―・い」「経験が―・い」「つきあいが―・い」{ (1) ~ (3) } 深い (4) 時間があ