は 意味
- (1)五十音図ハ行第一段の仮名。声門摩擦音の無声子音と後舌の広母音とから成る音節。
(2)平仮名「は」は「波」の草体。片仮名「ハ」は「八」の全画。
〔(1)「は」の頭子音は,古くは両唇摩擦音の無声子音であり,さらに奈良時代以前には両唇破裂音であったかといわれる。中世末期まで両唇摩擦音であったが,近世以降現代語と同じ音になった。(2)「は」は平安時代半ば以後,語中語尾では,一般にワと発音されるようになった。これらは,歴史的仮名遣いでは「は」と書くが,現代仮名遣いでは,助詞「は」以外はすべて「わ」と書く〕
- 【翳】
「さしば(翳)」に同じ。
「玉の―を差し隠して/今昔 10」
- 【ハ】
西洋音楽の音名。欧語音名 C に当てた日本音名。基準音イより短三度高い音。
- 【刃】
〔「歯」と同源〕
物を切る道具の,切ったり削ったりするために薄く鋭くしてある部分。
「―を研ぐ」「刀の―が欠ける」
- (1)緊張して応答するときに発する語。はっ。
「―,かしこまりました」
(2)問い返すときにややかしこまって発する語。
「―,何ですか」
(3)笑う声を表す語。ははは。
「席の人々一同に―と咲(ワラ)ひけるを/沙石 3」
(4)怪しみ,いぶかるときに発する語。はて。はあ。
「―,筋ともない事に聞きないて,腹をお立ちやる/狂言・薬水」
- 【羽】
(1)鳥が空を飛ぶために使うはね。つばさ。
「鴿(ハト)の子漸(ヨウヤ)く勢長じて,未だ―生ひ定まらざるに/今昔 7」
(2)鳥の全身をおおう毛。羽毛。はね。
「水鳥の鴨の―色の/万葉 4494」
(3)飛ぶ虫のはね。
「蝉の―よりも軽げなる直衣(ノウシ)指貫(サシヌキ),生絹(スズシ)のひとへなど/枕草子 33」
(4)矢につける鳥のはね。矢ばね。
「其の矢の―は/古事記(上訓)」
――が利(キ)・く
はぶりがよい。幅がきく。勢力のほどを示す。
「よし町へ羽織を着ては―・かず/柳多留(初)」
- 【葉】
維管束植物の基本器官の一。枝や茎につき,主として同化・呼吸作用を行う。多様な変態を示し,機能や形態によって子葉・普通葉・包葉・鱗片(リンペン)葉・花葉などに分ける。普通葉の形態は種によって異なり,分類上の手がかりとされる。
「―が茂る」
- 〔現在では「わ」と発音する。助詞「を」の下に付くとき,「をば」となることがある〕
種々の語や文節,活用語の連用形などに接続する。多くの事柄の中から,一つのものを取り出して提示するのが本来の用法である。
(1)特に一つの物事をとりあげて提示する。
「お酒―ぼくが買う」「食事―もうすんだ」
(2)題目を提示して,叙述の範囲をきめる。
「象―鼻が長い」「ぼく―学生だ」「今日―よい天気だ」
(3)二つ以上の判断を対照的に示す。
「行き―よいよい,帰り―こわい」「親に―孝行,友人に―信義」
(4)叙述を強める。(ア)
〔格助詞・副詞などに付いて〕
意味や語勢を強める。「たいてい―,そのまま帰る」「君と―もう会わない」(イ)
〔動詞・形容詞の連用形,および助詞「て・で」に付いて〕
一続きの叙述の一部分を強調する。
「絶対に行き―しない」「なるほど美しく―ある」「まだ書いて―いない」「真実で―ない」
(5)〔「…(で)は…(だ)が」の形で〕
譲歩の気持ちを表す。活用語の連用形に付くこともある。
「雨も,降り―降ったが,ほんのわずかだ」「ごめんどうで―ございますが」
(6)動作・作用の行われる条件・事態を表す。現代語では「ては」の形で用いられるが,古語では「ずは」「くは」「しくは」などの形をとることもある。
「不正があって―ならない」「おこられて―大変だ」「会社として―万全の備えをするつもりです」「忘れて―夢かとぞ思ふ/伊勢 83」「あらたまの年の緒(オ)長くあひ見ず―恋しくあるべし/万葉 4408」「鶯の谷よりいづるこゑなく―春くることをたれかしらまし/古今(春上)」「恋しく―形見にせよとわが背子が植ゑし秋萩/万葉 2119」
→ずは(連語)
→ずば(連語)
(7)文末にあって,終助詞的に用いられる。体言や活用語の連体形に接続して,感動の意を表す。よ。
「はも」「はや」などの形をとることがある。「歯固めの具にももてつかひためる―/枕草子 40」「あはれ,それを奉り鎮め給へりし―や/大鏡(道長)」
(8)(文末にあって終助詞的に用いられ)話し手自身に対して,念を押すような気持ちでの詠嘆を表す。
「すはよい―とて追たそ/史記抄 3」「又五十字,百字有る歌もあらう―さて/狂言・萩大名(虎寛本)」
〔(7)は上代では「はや」「はも」の形をとる。(8)は中世以後の用法。近世では「わ」と表記されることが多くなり,現代語で主として女性が用いる終助詞「わ」の源流となる〕
→はや
→はも(連語)
→わ(終助)
- 〔上代東国方言〕
格助詞「へ」に同じ。
「我が背なを筑紫―遣りて/万葉 4428」
- あか-は 【明衣】 (1) 神事などの際に着る浄衣(ジヨウエ)。 (2) 天皇が神事の際,沐浴のあとに着る帷子(カタビラ)。また,天皇の沐浴に奉仕する蔵人の着る帷子。あかはとり。あけのころも。
- あげ-は [0] 【揚羽】 アゲハチョウの略。
- ある-は 【或は】 (接続) (動詞「あり」の連体形に係助詞「は」が付いたもの。「あるは…あるは…」と重ねて用いることが多い) (1) ある者は。ある場合は。「―花をそふとてたよりなき所にまどひ―月を思ふとて/古今(仮名序)」 (2) または。もしくは。「あふさか山に至りて手向けを祈り,―春夏秋冬にもいらぬくさぐさの歌をなむえらばせたまひける/古今(仮名序)」
- いき-は 【行端】 行った所。行くべき所。ゆくえ。「先の―もおぼつかなし/浄瑠璃・重井筒(中)」
- いさ-は [0] 【斑葉】 (1) 葉緑素の欠乏などで白・黄のまだらや筋の生じた葉。斑(フ)入り。 (2) しらが混じりの頭のたとえ。
- いせ-は 【伊勢派】 (1) 俳諧の一派。荒木田守武を祖として,伊勢国におこり,杉木望一・岩田涼菟(リヨウト)・中川乙由(オツユウ)などの俳人を生んだ。涼菟・乙由を中心とする蕉門一派をさすことが多い。伊勢流。麦林調。 (2) 本居宣長を中心とする和歌の一派。 江戸派 桂園派
- いつ-は 【何時は】 (連語) (1) 特にどのときに。いつごろ。多く打ち消しの語を伴う。「梅の花―折らじと厭はねど/万葉 3904」 (2) いつもは。普段は。「―さもあれ此夜半は/浄瑠璃・曾根崎心中」
- いま-は 【今は】 (連語) 「今は限り」などと,あらわに言うのを避けた言い方。もうこれが最後。「―とて天の羽衣着る折ぞ君をあはれと思ひいでける/竹取」 今際
- いり-は [0] 【入端】 (1) 舞踊的な芸能で,退場の部分の演技・歌・囃子(ハヤシ)をいう語。民俗芸能では登場の部分をいうこともある。 出端 (2) 古く,二場構成の能の後場(ゴバ)をいった語。
- いろ-は (「いろ」は接頭語) 母。生母。 かぞ [和名抄]
- い-は [1] 【異派】 (1) (自分の流派とちがう)他の流派。 (2) 新たにたてた派。別派。
- うわ-は ウハ― [0] 【上端】 (「うわば」とも) (1) 物の上部のはし。 (2) ある単位に達しない数。特に,金勘定の際の端数。
- えだ-は [0] 【枝葉】 (1) 枝と葉。 (2) 物事の本質的でない,ささいな部分。枝葉末節。「―にこだわる」 (3) 本家から分かれた者。また,家来・従者。「―の者は追つての御沙汰/人情本・梅児誉美(後)」
- えて-は 【得ては】 (副) (副詞「得て」に助詞「は」の付いたものから) えてして。とかく。「ああいふやつは…―食ひ逃げをして,ぶちのめされるもんだ/滑稽本・膝栗毛 3」
例文
- この辞書は特に語法に重点を置いている。
- 我々には死か降伏かのどちらかしかない。
- そこはとても大きくてにぎやかな都市だ。
- この道路は車は駐車禁止になっています。
- この道路は車は駐車禁止になっています。
- 彼女はしまいには入院するはめになった。
- 彼女はしまいには入院するはめになった。
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- 父は私が山へ1人で行くことに反対した。
- 今日、彼は指を切ってからピアノが苦手だ