も 意味
- (1)五十音図マ行第五段の仮名。両唇鼻音の有声子音と後舌の半狭母音とから成る音節。
(2)平仮名「も」は「毛」の草体。片仮名「モ」は「毛」の末三画。
〔奈良時代,古事記では,上代特殊仮名遣いで甲乙二類の別があり,古くは発音上区別があったとされる〕
- ※一※ (係助)
種々の語句に接続する。
(1)類似した事物を幾つか取り出し並べて提示する。
「…も…も」の形をとることが多い。「血―涙―ない男」「野に―山に―春がきた」「世界の男,あてなる―いやしき―,いかでこのかぐや姫を得てしがな,見てしがなと,音に聞きめでて惑ふ/竹取」
(2)他にも類似の事物が存在することを言外にほのめかす形で,ある事物を提示する。
「英語―ろくにできないくせに」「君のこと―頼んでおいた」「心なき身に―あはれは知られけり鴫(シギ)立つ沢の秋の夕暮れ/山家(秋)」
(3)不定を表す言葉に付いて,全面肯定・全面否定を表す。
「何―知らない」「だれ―が知っていること」「なに―あらむもの給へ/落窪 1」
(4)極端な事物を提示し,強調する。…さえも。
「聞いたこと―ない話」「太っ腹の社長―,今度はまいったようだ」
(5)動詞の連用形や動作性名詞に付いて,下に否定の語を伴い,打ち消しの意を強めて表す。
「ふりむき―しない」「いちべつ―くれない」
(6)詠嘆・感動の意を表す。
「書き―書いたり,一日五千枚」「こう―暑くてはやりきれない」「限りなく遠く―来にけるかな/伊勢 9」
(7)係助詞「こそ」「ぞ」「や」「か」などを伴って用いられる。
→もこそ(連語)
→もぞ(連語)
→もや(連語)
→もか(連語)
※二※ (接助)
(1)形容詞連用形に接続する。ある動作・作用や状態を述べる時,その量や程度について極端な場合あるいは限界となる場合を想定するのに用いられる。…とも。…ても。
「おそく―本年中には完成するだろう」
(2)活用語の連体形に接続して,逆接の確定条件を表す。…けれども。…ても。
「心ひとつにいとど物思はしさ添ひて内裏へ参らむと思しつる―,出で立たれず/源氏(橋姫)」
※三※ (終助)
文末に付いて,詠嘆の意を表す。体言を受ける場合,他の係助詞が上接して「かも」「やも」「ぞも」「はも」などの形をとる。
→かも(連語)
→やも(連語)
→ぞも(連語)
→はも(連語)
「春の野に霞たなびきうら悲しこの夕影にうぐひす鳴く―/万葉 4290」「恋せじとみたらし河にせしみそぎ神はうけずぞなりにけらし―/古今(恋一)」
- 【面】
〔「おも」の「お」が脱落した形〕
おもて。表面。あたり。方向。
「阿倍の田の―に居る鶴(タズ)の/万葉 3523」
- (1)さらに。もっと。もう。
「―ひとつどうぞ」
(2)もはや。もう。
「いや,―往(イ)にまらする/狂言・痩松」
- 【裳】
腰から下にまとう衣服。
(1)奈良時代,律令制による礼服のときに,男女とも用いた腰巻式のもの。
(2)平安時代以後,公家の女房などが正装するとき,袴(ハカマ)の上につけ,後方のみにたれた襞(ヒダ)飾りのあるもの。
- 【藻】
水中に生育する水草・海草・藻類などの総称。
- 【喪】
(1)人が死んだのち,近親者がその死をいたみ,また死のけがれを忌(イ)んで慎むこと。一定の期間家に閉じこもったり交際をさけたりする。
「―に服する」「―が明ける」
(2)災い。凶事。
「旅にても―なくはや来と我妹子が/万葉 3717」
――を発・する
帝王などの死を公式に発表する。発喪する。
- 〔上代東国方言〕
活用語の未然形に付く。推量の助動詞「む」に同じ。
「人妻とあぜかそを言はむ然らばか隣の衣を借りて着なは〈も〉/万葉 3472」「我が門の片山椿まこと汝(ナレ)我が手触れなな地(ツチ)に落ち〈も〉かも/万葉 4418」
- -も も; また; ...過ぎる; ...過ぎ; にも; さらに
- も … も そして; および; と
- も-か-も (連語) (係助詞「も」に係助詞「か」,係助詞「も」の付いたもの。上代語) 「か」は,疑問または詠嘆を表す。…も…ことであろうか。…も…ことであろうなあ。「釧(クシロ)つくたふしの崎に今日―大宮人の玉藻刈るらむ/万葉 41」「今―大城の山にほととぎす鳴きとよむらむ我れなけれども/万葉 1474」
- あさ-も [0] 【麻裳】 麻で作った裳。
- あじ-も アヂ― [0] 【味藻】 アマモの別名。
- あせ-も [3] 【汗疹】 汗のために皮膚にできる,小さな赤い水泡(スイホウ)性湿疹(シツシン)。かゆみを伴う。夏,乳幼児や皮膚の弱い人にできやすい。あせぼ。汗疹(カンシン)。汗瘡(カンソウ)。 [季] 夏。《なく声の大いなるかな―の児/虚子》
- あま-も [0] 【甘藻】 ヒルムシロ科の海中に生える沈水性多年草。根茎は土中をはい,長い茎に長さ1メートルに及ぶ狭長な葉を互生する。初夏,黄色の葯(ヤク)のある小花を海中に開く。昔,この草を積み重ね,海水を注いで焼き,塩をつくったという。藻塩草(モシオグサ)。味藻(アジモ)。竜宮の乙姫の元結(モトユイ)の切りはずし。
- あん-も 【餡餅】 (幼児語) 餅(モチ)。餡餅(アンモチ)。あも。「きのふ夕がたに―をたべたばかしです/当世書生気質(逍遥)」
- いた-も 【甚も】 (「いた」は形容詞「いたし」の語幹。「も」は係助詞) はなはだしくも。「吾(ア)が思(モ)ふ心―すべなし/万葉 3785」
- いつ-も [1] 【何時も】 ■一■ (名) (1) 普段の状態。平生。「今日は―と様子が違う」 (2) 普段のとおり。常(ツネ)。平生。「―の時間に―の場所で会おう」 ■二■ (副) 常に。どんな時でも。「―にこにこしている人」
- いと-も [1] (副) (副詞「いと」に助詞「も」の付いた語) 大変。非常に。「式典が―おごそかに行われる」「―簡単」
- いろ-も [2] 【色も】 色の付いた,木綿のしつけ糸。主に洋裁用。 しろも
- いん-も 【恁麼】 (中国宋代の俗語。日本では主に禅語として用いられる。また,「どのような」の意の疑問語「什麼(ジユウマ)」「甚麼」なども,混同して「いんも」と読んで,同義とすることがある) (1) このような。そのような。 (2) ({ (1) }より転じて)絶対の真理のままにあること。
- うつ-も [0] 【鬱茂】 (名)スル 草木がおいしげること。「その―せる状は深山の森にも似たるべし/即興詩人(鴎外)」
例文
- そこはとても大きくてにぎやかな都市だ。
- ワインもう一本買ってくればよかったね。
- よくも彼女にそんなことがいえるものだ。
- よくも彼女にそんなことがいえるものだ。
- 幸福は金で買えないのは言うまでも無い。
- あなたはもっと注意しなければならない。
- ジュディさんはダンスがとても上手です。
- 子どもたちは壮観な花火に心を奪われた。
- 若い頃、あの川の側で遊んだものだった。
- もう八月で夏休みも終わろうとしている。