もって 意味
- 【以て】
〔動詞「もつ(持つ)」の連用形の音便の形「もっ」に接続助詞「て」の付いたもの〕
動詞「持つ」の具体的な意味が薄れ,一語の助詞のように用いられる。
□一□格助詞的に用いられる場合。「をもって」の形で用いられることが多い。
(1)手段・方法・材料などを表す。…で。…でもって。…によって。
「書面を―通知する」「願はくは今日の拝参を―必ず当生の良縁とせん/海道記」
(2)原因・理由などを表す。…の理由で。…により。
「博学を―聞こえる」「猛練習を―鳴るチーム」「世尊此の因縁を―我等諸の王を護世者と名づく/金光明最勝王経(平安初期点)」
(3)動作の行われる時を表す。に。
「顔を洗う序(ツイデ)を―,冷たい縁を素足で踏みながら,箱の蓋を取つて鳥籠を明海(アカルミ)へ出した/文鳥(漱石)」「尚八月十五日を―行ふべきなり/今昔 31」
(4)動作・作用の行われる際の状態を表す。
「優秀な成績を―卒業した」
(5)単なる強めとして用いる。
「いささか―迷惑なことだ」「東京を―日本の首都とする」「水を―遍く灑ぐ/金光明最勝王経(平安初期点)」「コトゴトク―クチヲトヂラレヲワンヌ/ロドリゲス」
□二□接続助詞的に用いられる場合。
(1)形容動詞,断定の助動詞「だ」の連用形に付いて,下に続ける。
「…の上に」「…に加えて」などの意を表す。かつ。「利口で―,すなおな子だ」「美人で―,頭もいいときている」
(2)動詞の連用形に付いて,下の動詞に続ける。
「…しながら」の意を表す。「歌い―踊る」「古宮川町はどうまゐりまするとさぐり―帰れ/浮世草子・長者容気」
→以(モ)ちて(連語)
――する
(「…を以てする」の形で)活用する。…によってする。
「彼の言を―すれば」「現代医学を―しても…」
――暝(メイ)すべし
(宿願を果たして)それで安心して死ぬことができる。
- いまもって 【今以て】 現在になっても。いまだに。まだ。 「―原因がわからない」
- いま-もって [3] 【今以て】 (副) 現在になっても。いまだに。まだ。「―原因がわからない」
- ここ-を-もって [4] 【是を以て】 (接続) (「是以」の訓読み) こういうわけで。ここをもちて。ここをもて。
- しんもって 【神以て】 神にかけて。全く。実に。 「密通をいたせしこと―存ぜず/滑稽本・膝栗毛(発端)」
- しん-もって 【神以て】 (副) 神にかけて。全く。実に。「密通をいたせしこと―存ぜず/滑稽本・膝栗毛(発端)」
- じつもって 【実以て】 本当に。実に。 「彼時(アノトキ)は―言得なかつたのである/片恋(四迷)」
- じつ-もって [3] 【実以て】 (副) 本当に。実に。「彼時(アノトキ)は―言得なかつたのである/片恋(四迷)」
- でもって 〔格助詞「で」に「もって」が付いたもの〕 格助詞「で」を強めた言い方。 「火事―家屋敷をすっかり失ってしまった」「今では飛行機―ヨーロッパでもアフリカでも簡単に行くことができる」
- で-もって (連語) (格助詞「で」に「もって」が付いたもの) 格助詞「で」を強めた言い方。「火事―家屋敷をすっかり失ってしまった」「今では飛行機―ヨーロッパでもアフリカでも簡単に行くことができる」
- なおもって 【尚以て・猶以て】 (1)なおさらいっそう。なおのこと。 「そうしていただければ―有り難い」 (2)それでもやはり。 「数通の起請文を書き進ずといへども,―御宥免(ユウメン)なし/平家 11」
- なお-もって ナホ― [1] [3] 【尚以て・猶以て】 (副) (1) なおさらいっそう。なおのこと。「そうしていただければ―有り難い」 (2) それでもやはり。「数通の起請文を書き進ずといへども,―御宥免(ユウメン)なし/平家 11」
- まえもって 【前以て】 前から。あらかじめ。 「―連絡する」
- まえ-もって マヘ― [3] 【前以て】 (副) 前から。あらかじめ。「―連絡する」
- まずもって 【先ず以て】 何はおいても。とにもかくにも。まずは。 「―報告に来るべきだ」「―一安心」
- まず-もって マヅ― [1] [3] 【先ず以て】 (副) 何はおいても。とにもかくにも。まずは。「―報告に来るべきだ」「―一安心」
例文
- 他人の物をもっていると結局窃盗になる。
- 犬はそれぞれ異なった性格をもっている。
- 彼は音楽の素晴らしい才能をもっている。
- おもってたのとまるっきり違いますねえ。
- 私はまえもってあなたに知らせるだろう。
- 我が社はとても長い歴史をもっています。
- 上京する際には前もってお知らせ下さい。
- 日本の温泉は裸で泳ぐのにもってこいだ。
- 彼は少なからず音楽に興味をもっている。
- 大統領は投票の過半数をもって選ばれる。