より 意味
- 【度】
助数詞。回数を数えるのに用いる。たび。ど。回。
「軍衆(イクサ)三―驚駭(トヨ)む/日本書紀(崇峻訓)」「とふ人もなき我がやどのむら時雨ふた―身―おどろかすかな/伊勢大輔集」
〔語源は,「寄り」からとも,「時」の意の名詞からとも〕
- 【縒り・撚り】
よること。また,よったもの。
「―の甘い糸」
――が戻・る
(1)縒り合わせたものがほぐれる。
(2)もとどおりになる。特に,別れた男女がもとの関係に戻る。
――を掛・ける
(1)糸に縒りをほどこす。
(2)「腕(ウデ)に撚りを掛ける」の略。
――を戻・す
(1)縒り合わせたものをほぐす。
(2)もとどおりに戻す。特に,別れた男女の関係をもとに戻す。
「別れた夫婦が―・す」
- 【寄り】
(1)相撲で,四つに組み体を密着させて,押しながら進むこと。
(2)映画撮影で,被写体にカメラを近づけて撮影すること。あるいはカメラを近づけること。
(3)腫(ハ)れ物が一か所に集まること。
(4)「寄り付き」の略。
(5)場所・方向・側など,位置を表す語の下に付いて,そこ,また,そちらに近い意を表す。
「海―の道」「右―の考え」
- 〔格助詞「より」から〕
物事の程度がさらに加わるさまを表す。もっと。いっそう。
「乗り物のスピードは―速くなってきている」「新しいビルは―高くなる傾向にある」「こちらの方が―純粋で,かつ美しい気がする」「―一層の努力が必要だ」
〔格助詞「より」の古来からの用法である比較の基準を表すものから,副詞として転用されるようになったもの。明治以降,西欧語の翻訳文において用いられ始め,それが広く行われるに至った〕
→より(格助)
- (1)比較の基準を表す。
「よりは」「よりも」「よりか」などの形をとることが多い。「富士山―高い山」「思った―も立派なできばえ」「人―は妹そも悪しき恋もなくあらましものを思はしめつつ/万葉 3737」
(2)一定の範囲を限定する意を表す。下に時間・距離・位置などに関する名詞がくることが多い。
「私の家は公園―手前にある」「五時―後にしよう」「これ―東,娑婆世界―西に,天上の人の植ゑし木の声すなり/宇津保(俊蔭)」
(3)(打ち消しの語句を伴って)ほかのものを否定し,それと限る意を表す。
「よりほか」「よりしか」などの形を用いることが多い。「ことわる―しかたがない」「もろともにあはれと思へ山桜花―ほかに知る人もなし/金葉(雑上)」
(4)動作・作用の時間的・空間的起点を表す。現代語では,書き言葉的で,話し言葉では「から」を用いるのが普通である。
「神戸港―船出する」「六時―開会の予定」「いづく―来りしものそまなかひにもとなかかりて安眠(ヤスイ)しなさぬ/万葉 802」
(5)動作の行われる場所・経由地を表す。…を通って。から。
「古に恋ふる鳥かもゆづるはの御井(ミイ)の上―鳴き渡り行く/万葉 111」「かたゐのやうなる姿なる,この車のまへ―いきけり/大和 148」
(6)動作・作用の手段・方法を表す。で。にて。
「つぎねふ山背道(ヤマシロジ)を他夫(ヒトヅマ)の馬―行くに己夫(オノヅマ)し徒歩(カチ)―行けば/万葉 3314」「ただひとり徒歩(カチ)―まうでけり/徒然 52」
(7)原因・理由を表す。のゆえに。によって。
「つはものどもあまた具して山へ登りける―なむその山をふじの山とは名づけける/竹取」
(8)(活用する語の連体形に付き)「…するとすぐ」「…するやいなや」の意を表す。
「命婦かしこにまかでつきて門引き入るる―,けはひあはれなり/源氏(桐壺)」「名を聞く―,やがて面影は推しはからるる心地するを/徒然 71」
〔(1)上代には,ほとんど同じ用法をもつ格助詞として,「ゆ」「ゆり」「よ」「より」の四語がある。これらの語源に関しては,「ゆり」「より」からその省略形として「ゆ」「よ」が生じたとする説と,「ゆ」「よ」から「ゆり」「より」が生じたとする説とがある。→「ゆり」(格助)の補説(1)。(2)「より」は上代から用いられている語であるが,古来,その用法が変わらないのは(1)で,中古以降,(4)(5)などは次第に「から」がこれに代わり,その他のものも「にて」「で」その他の語に代わったものが多い〕
- より-より [0] 【度度・寄り寄り】 (副) (「より(度)」を重ねたものか) 時々。おりおり。「―その話が出た/夜明け前(藤村)」
- よりより 【度度・寄り寄り】 〔「より(度)」を重ねたものか〕 時々。おりおり。 「―その話が出た/夜明け前(藤村)」
- 元より・固より・素より もとより ① (1)いうまでもなく。もちろん。 「失敗は―覚悟していた」「罪は―ぼくにある」 (2)昔から。初めから。以前から。 「後涼殿に―さぶらひ給ふ更衣の曹司を他に移させ給ひて/源氏(桐壺)」 (3)もともと。元来。 「ふなぎみの病者―こちごちしき人にて/土左」
- あま-より [0] 【甘縒り】 糸などの縒り方が,普通よりも縒りの数が少なくゆるやかなこと。また,その糸。
- いと-より [0] [4] 【糸縒り・糸撚り】 (1) 糸によりをかけること。糸をよりあわせること。 (2) 「糸縒り車」の略。 (3) 延年舞の一つで,枠に糸をよりながら,いとしい人を待つという所作をいう。「三十郎が狂言,伝介が―とて京中これに浮かされて見物するほどに/仮名草子・東海道名所記」 (4) イトヨリダイの略。
- うわ-より ウハ― [0] 【上撚り】 下撚りをかけた糸を二本以上引きそろえて下撚りと反対の方向にかける撚り。
- おより 【御寄】 「御寄講(オヨリコウ)」の略。
- お-より [0] 【御寄】 「御寄講(オヨリコウ)」の略。
- かた-より [0] 【片撚り・片縒り】 左右どちらか一方向にだけ撚りをかけること。
- かみ-より 【紙縒り】 「こより(紙縒)」に同じ。
- くい-より クヒ― [0] 【食(い)寄り】 物を食べることを目あてに人人が集まること。「親(シン)は泣き寄り,他人は―」
- こより 【紙撚り・紙縒り・紙捻り】 〔「かみより」から転じた「こうより」の転〕 細長く切った和紙を糸のように撚ったもの。かんぜより。こうひねり。
- こ-より [0] [3] 【紙撚り・紙縒り・紙捻り】 (「かみより」から転じた「こうより」の転) 細長く切った和紙を糸のように撚ったもの。かんぜより。こうひねり。
- さし-より [0] 【指し寄り】 ■一■ (名) はじめ。最初。とっかかり。「泣の涙で居る家が四五十軒はあるね。―がそれ御屋敷の/自然と人生(蘆花)」 ■二■ (副) さしあたり。はじめに。「―望む所は,職務以外に何の束縛も受けぬ地位/思出の記(蘆花)」
例文
- この会社は女性の方が男性より数が多い。
- 当地の気候はイングランドよりも暖かい。
- 彼女は冷たいよりもむしろ内気なのです。
- 彼はぼくよりたくさんお金を持っている。
- 私は自分が健康で何よりだと思っている。
- 私は物を書くよりも本を読む方が好きだ。
- 彼女は友達というより知り合いの仲です。
- トムはメアリーよりほんの少し背が高い。
- 君の時計の方が私の時計より値段が高い。
- 今年の冬は以前よりも雪が多く降ってた。