ちらす 意味
- 【散らす】
(1)草木の葉や花をばらばらに落とす。
「花を―・す雨」
(2)まとまっていた人や物をばらばらに乱す。ちらかす。
「滴を―・す」「物も―・しながら,逃ぐる者からむるやうに/落窪 1」
(3)一か所にまとまらないように置く。
「兵を―・す」「金箔(キンパク)を―・す」
(4)集中力や憂鬱な気分を分散させて,消えるようにする。
「気を―・さないで勉強しなさい」「悲(カナシミ)も恐(オソレ)も怒りも歌には自然に紛れ去り鬱を―・すの種子(タネ)にもなればや/谷間の姫百合(謙澄)」
(5)腫(ハ)れ・炎症などを,手術によらずにおさまるようにする。
「虫垂炎を切らずに―・す」
(6)(命を花にたとえて「命を散らす」の形で)元気な若い人が,戦いなどで命を落とす。
(7)失う。なくす。
「―・すまじき文どもを一合,判官に取られてあるぞ/平家 11」
(8)口外する。言いふらす。
「かう申したりとな―・し給ひそ/枕草子 277」
(9)動詞の連用形に付いて,細かい点を気にせずに…する,荒々しく…する,の意を表す。
「あちこちに書き―・した文章」「ごちそうを食い―・す」「部下をどなり―・す」
〔「散る」に対する他動詞〕
‖可能‖ ちらせる
︱慣用︱ 蜘蛛の子を―よう・算を―・火花を―・紅葉を―
- ちらちらする かげろう; きらきらする; 赫う; 顫動する; きらめく; 明滅する; 耀く; 震える; はためく; ちらつく; 閃く; 光り輝く; 耀う; 煌めく; ちらめく; 光り耀く; 揺ら揺らする; 揺らめく; ぴかぴか光る; ひらめく; 煌く; 輝く; スパークする; 光る; きらつく; ちかちかする; ブルブルする
- いいちらす 【言(い)散らす】 (1)あたりかまわず言う。無責任に言う。 「悪口雑言を―・す」 (2)あちこちで言う。言いふらす。 「尼になして,我が世のあらむ限りはもたらむと,―・したれば/源氏(玉鬘)」 ‖可能‖ いいちらせる
- うちちらす 【打(ち)散らす】 (1)棒などで打って追い散らす。 「ステツキで右往左往に―・し/思出の記(蘆花)」 (2)(「討ち散らす」とも書く)敵を攻めて追い散らす。 「隊伍を改め―・せ/近世紀聞(延房)」 (3)あちこちに散らかす。 「子ども・わらはべ…調度―・しぬる/枕草子 28」
- おいちらす 【追(い)散らす】 (1)追い立てて散り散りにさせる。 「野次馬を―・す」 (2)激しい勢いで先払いをする。 「前(サキ)―・して,いと猛にてまうで給ふ/落窪 2」 ‖可能‖ おいちらせる
- かきちらす 【書(き)散らす】 筆にまかせてに書く。あちこちに書く。 「方々に雑文を―・す」
- くいちらす 【食(い)散らす】 (1)食べ物を食べこぼしたりして,あたりをよごす。 (2)あれこれと料理に少しずつ手をつける。 「いじきたなく―・す」 (3)いろいろな物事に少しずつ手をつける。 「あれこれ―・すばかりで,どれもものにならない」
- けちらす 【蹴散らす】 (1)かたまっているものを,足でけって散乱させる。 「ごみを野良犬が―・す」 (2)敵などを追い散らす。 「雑兵を―・して進む」「さらば―・して通らん/平家 11」 ‖可能‖ けちらせる
- たべちらす 【食べ散らす】 食い散らす。食べ散らかす。 「あちこち箸をつけて―・す」
- とりちらす 【取(り)散らす】 〔「とり」は接頭語〕 あちこち物を散らす。乱雑にする。とりちらかす。 「―・したものを片附ける/多情多恨(紅葉)」
- ぬぎちらす 【脱ぎ散らす】 脱いでそのまま散らかす。脱ぎ散らかす。
- はきちらす 【吐き散らす】 所かまわず吐いて,あたりを汚す。また,汚い言葉をやたらに吐く。 「つばを―・す」「言いたい放題―・す」
- ふきちらす 【吹(き)散らす】 (1)風が物を吹いて散らす。 「突風がごみを―・す」 (2)盛んに言いふらす。吹聴する。 「好加減な事を―・して人を担(カツ)ぐ/吾輩は猫である(漱石)」
- ふみちらす 【踏(み)散らす】 (1)足で踏んで散らかす。踏み荒らす。 「小鳥がえさを―・す」 (2)荒々しく踏む。また,あちらこちらを踏む。 「下座敷の椽を―・しながら/多情多恨(紅葉)」 (3)指貫(サシヌキ)・袴(ハカマ)などを左右に蹴り広げる。 「指貫など―・してゐためり/枕草子 33」
- ふれちらす 【触れ散らす】 言いふらしてまわる。ふれちらかす。 「学校中のあらをさがして,人に―・してあるいたり/当世書生気質(逍遥)」
- まきちらす 【撒き散らす】 あたり一面にまく。あちらこちらに広く振りまく。 「灰を―・す」「金を―・す」「うわさを―・す」 ‖可能‖ まきちらせる