宇治拾遺物語 意味
- うじしゅういものがたり
説話集。二巻。流布本一五巻。編者未詳。1212~21年頃成立(のちに増補されたか)。仏教説話・滑稽談・民話・説話など一九七話を収録。軽妙な和文脈で民衆の生活感情や人間性を語る。
- 宇治大納言物語 うじだいなごんものがたり 散逸説話集。源隆国作と伝えられる。平安後期成立。多くの書にその書名が引用され,「今昔物語集」「宇治拾遺物語」をはじめ,後代への影響が非常に大きい。また,「今昔物語集」「宇治拾遺物語」「世継物語」などの別称としても呼ばれ,相互の混同を引き起こした。
- 遺物 いぶつ ◎① (1)過去の人類の残した物。考古学では,石器・土器・骨格器・青銅器・人骨など持ち運べる物をいう。 「前世紀の―」 (2)形見。また,教祖や聖人の遺骸や遺品。ゆいもつ。 (3)落とし物。遺失物。 ; ゆいもつ 死者ののこした物。遺品。[日葡]
- 拾遺 しゅうい ① (1)(歌・作品など)漏れ落ちているものを拾い補うこと。 「宇治―」 (2)君主をたすけて,その過失を補うこと。 (3)侍従の唐名。
- 宇治 うじ (1)京都府南部にある市。京都と奈良を結ぶ宇治川渡河点に位置し,古来交通の要地。近年,工業が発達。平等院鳳凰(ホウオウ)堂がある。宇治茶で有名。((歌枕))「我をまつらむ―の橋姫/古今(恋四)」 →宇治川 →宇治橋 →宇治山 (2)「宇治茶」の略。 (3)抹茶を使用した菓子・料理などに冠する名。 「―金時」
- 聖遺物 せいいぶつ ③ カトリック教会で,聖人の遺骨や着衣などの遺物の尊称。崇敬の対象とされる。
- 物語 ものがたり ③ (1)あるまとまった内容のことを話すこと。ものがたること。また,その内容。話。談話。 「世にも悲しい―」「知る人の許にて夜に入るまで―し/舞姫(鴎外)」 (2)文学形態の一。広義には,散文による創作文学のうち,自照文学を除くものの総称。すなわち,作者が人物・事件などについて他人に語る形で記述した散文の文学作品。特に,人物描写に主眼のある小説に対して,事件の叙述を主とするも
- 拾遺抄 しゅういしょう 歌集。一〇巻。藤原公任(キントウ)撰。999年以前までの成立。この集を増補したものが「拾遺和歌集」であるとされる。
- 拾遺集 しゅういしゅう 「拾遺和歌集」の略。
- 宇治丸 うじまる ② 京都府宇治市の特産である鰻鮨(ウナギズシ)の異名。また,かば焼きにもいう。うじのまる。
- 宇治山 うじやま 喜撰岳の古名。喜撰法師の住処の跡があると伝えられて有名。((歌枕))「我がいほは宮このたつみしかぞすむ世を―と人はいふなり/古今(雑下)」
- 宇治川 うじがわ 京都府南部を流れる川。水源は琵琶湖。上流は瀬田川,宇治市で宇治川となり木津川・桂川と合流して淀川となる。古来,網代(アジロ)・川霧・柴舟などとともに歌によまれた。((歌枕))
- 宇治橋 うじばし (1)京都府宇治市にあって宇治川に架かる橋。橋姫の伝説がある。((歌枕)) (2)三重県伊勢市の五十鈴(イスズ)川に架かって,伊勢神宮内宮の表参道に通じる橋。
- 宇治目 うじめ ②③ 江戸時代の量目の単位の一。二〇〇匁(約720グラム)を一斤(キン)としたもの。宇治で茶をはかるのに用いた。
- 宇治石 うじいし ② 京都府宇治市に産する濃緑色のかたい岩。茶臼(チヤウス)などを作る。
- 宇治茶 うじちゃ ② 京都府宇治市周辺から産出される茶。古来良質の茶として賞美される。
例文
- ウィキソースに宇治拾遺物語の原文があります。
- 『今昔物語集』および『宇治拾遺物語』に原話が見られる。
- 今昔物語・宇治拾遺物語とともに日本三大説話集とされる。
- 「宇治拾遺物語」などには、和泉式部と親しかったという説話がある。
- 新日本古典文学大系(岩波書店)に、『宇治拾遺物語』と合わせて収録。
- 「今鏡」「宇治拾遺物語」「十訓抄」その他に彼に関する説話が載っている。
- 『今昔物語集』『宇治拾遺物語』『世継物語』と共通する説話を多く有する。
- 先に成立していた宇治拾遺物語が収集対象の一つになっていたものと思われる。
- 『宇治拾遺物語』に収録された説話の内容は、大別すると次の三種に分けられる。
- 『今昔物語集』や『宇治拾遺物語』では、当社の祭神は猿神であるとされている。