おとす 意味
- 【落(と)す】
(1)(「墜す」とも書く)物などを高い所から低い所へ移動させる。意図的な場合にも,そうでない場合にもいう。
「試薬を一滴―・す」「コップをうっかり―・して割ってしまった」「外野手がフライを―・した(=取リソコナッタ)」
(2)光や影を物の上に映す。
「杉の木が長い影を―・していた」
(3)高い位置にある物を破壊して落下させる。
「敵機をミサイルで―・す」
(4)ある対象から,付いている物を取り外す。取り除く。
「枝から実を―・す」「化粧を―・す」
(5)持ち物をなくす。(ア)所持していた物品を移動の間に紛失する。
「財布を―・した」(イ)得られるはずの物を得られないで終わる。「第一セットを―・したのが敗因だ」「―・した魚は大きい」「必修単位を―・した」
(6)ある範囲から除く。意図的である場合にもそうでない場合にもいう。(ア)洩らす。抜かす。「メンバーから―・す」「うっかり名簿から―・してしまった」(イ)ある水準や条件に達しないために,選ばれるものからはずす。
⇔入れる
「製品検査で一割が―・される」「ライバルを―・さないと当選できない」
(7)程度を低くする。(ア)高い程度・段階にあった物を低い程度・段階に変化させる。
⇔上げる
「スピードを―・す」「声を―・してささやく」(イ)良い状態にあったものを悪い状態に変化させる。下げる。
⇔上げる
「品質を―・す」「店の評判を―・す」(ウ)品格を下げる。
「あいつはすぐに話を―・す」
(8)人の社会的な地位や所属を上位から下位に移す。
「二軍に―・された」
(9)城や陣地を攻めて打ちやぶる。
「水攻めで城を―・す」
(10)白状させる。
「あの刑事は犯人を―・すのがうまい」
(11)相手を従わせる。
「泣き―・す」「くどき―・す」
(12)決着を付ける。(ア)ある所に落ち着かせる。「どの辺に―・すか決めてから交渉を始める」(イ)入札などで,落札する。「名画を―・す」(ウ)手形を決済する。(エ)落語で,さげをつける。
(13)柔道で,気絶させる。
(14)ひそかに逃がす。
「ただ置きて―・せ/平治(中)」
(15)見下げる。軽侮(ケイブ)する。
「人に―・され給へる御ありさまとて/源氏(若菜下)」
〔「おちる」に対する他動詞〕
‖可能‖ おとせる
︱慣用︱ 命を―・肩を―・雷を―・気を―・火を―・星を―・目を―
- いいおとす 【言い落(と)す】 (1)話の間で言うべきことを言わないでしまう。言いもらす。 「肝心な用件を―・す」 (2)悪く言う。けなす。 「人の,『いと,かたはなるもの』に―・すなるかたち/源氏(常夏)」
- いおとす 【射落(と)す】 (1)矢を当てて飛んでいるものを落とす。 「飛ぶ鳥を―・す」 (2)ねらったものを手に入れる。射とめる。 「頭取の椅子(イス)を―・す」 ‖可能‖ いおとせる
- うちおとす 【打ち落(と)す】 (1)たたいたり切ったりして落とす。 「クリを竹竿で―・す」「首を―・す」 (2)(多く「撃ち落とす」と書く)矢・鉄砲などで撃って落とす。 「敵機を―・す」 (3)ぽろりと落とす。おとす。 「嬉しくて老心地に涙を―・して喜びゐたり/落窪 3」 (4)城などを攻め落とす。 「合戦度々に及ぶ。毎度に学侶―・されて/平家 2」 ‖可能‖ うちおとせる
- うみおとす 【生み落(と)す・産み落(と)す】 子や卵を生む。 「玉のような子を―・す」
- おいおとす 【追い落(と)す】 (1)上位の者に勝って,その地位から追いやる。 「先輩を―・して今の地位を得た人」 (2)追って高い所から低い所へ落とす。 「平家の大勢をくりからが谷へ―・さうどたばかりけるを/平家 7」 (3)都・城などから敗走させる。 「四国はみな大夫判官に―・されぬ/平家 11」 (4)追いかけて奪い取る。 「下種徳人あらば―・して/義経記 2」 ‖可能‖ おいおと
- おとする 【音する】 音を立てる。 「庭の木の葉がさらと―・する/魔風恋風(天外)」
- かきおとす 【書き落(と)す】 書くべきことを書かないでしまう。書き漏らす。 「名前を―・す」 ‖可能‖ かきおとせる ; 【掻き落(と)す】 (1)付着物をかいておとす。 「壁土を―・す」 (2)首をかき斬っておとす。 「御頸を―・しけり/太平記 13」 ‖可能‖ かきおとせる
- かちおとす 【搗ち落とす】 (1)たたき落とす。 「(ヒイラギヲ)―・いてのけう/狂言・節分(虎寛本)」 (2)じゃまをして成功させない。 「だまれ,人の願ひを―・し/浄瑠璃・浦島年代記」
- ききおとす 【聞き落(と)す】 (1)聞くべきことをうっかり聞かないでしまう。聞きもらす。 「肝心なことを―・した」 (2)聞いて心の中でけなす。 「あへなくあはつけきやうにや―・し給ひけむ/源氏(若菜下)」
- きりおとす 【切り落(と)す】 (1)ものの一部を切って本体から落とす。 「余分な枝を―・す」 (2)堤防を破壊して,中の水を流す。 「堤を―・す」 (3)劇場で,吊(ツ)ってある幕の留め具を,綱の操作で一斉に外し,幕を下に落とす。切って落とす。振り落とす。 →浅葱(アサギ)幕 ‖可能‖ きりおとせる
- けおとす 【蹴落(と)す】 (1)蹴って落とす。 「小石を―・す」 (2)地位などを得るために,競争相手を強引に押しのける。 「先輩を―・して出世する」 ‖可能‖ けおとせる
- こきおとす 【扱き落(と)す】 ついている物を,しごいて落とす。 「稲を―・す」 ‖可能‖ こきおとせる
- しおとす 【為落(と)す】 うっかりして,やるべきことをし忘れる。 「点検を―・した所がある」
- すりおとす 【磨り落とす】 rub [scrape] off;file off (鑪(やすり)で).
- せめおとす 【攻め落(と)す】 敵の城・陣地などを攻撃して奪い取る。 「難攻不落の要塞を―・す」 ‖可能‖ せめおとせる ; 【責め落(と)す】 (1)責めて自分の意に従わせる。口説きおとす。 (2)責めて罪に服させる。 「よきもののあらば地獄へ―・さうずると存じて/狂言・朝比奈」 ‖可能‖ せめおとせる
例文
- トムはメアリーを口説きおとすことができなかった。
- この書類を書き写すとき一語もおとすことのないように気をつけなさい。
- ♫ 君の夢に影をおとすとしても ♫
- おとすって何!? そっちの落とすだったの!?
- 向こうは メインヒロインを おとすどころじゃないんだ。
- 向こうは メインヒロインを おとすどころじゃないんだ。
- ここのキッチンでは取り分ける前に 鍋の汚れを削りおとすの
- なお、名についてしおとする資料もある。
- キリエの策略の際に刹那をかばい命をおとす。
- 矢でバルーンをうちおとすゲーム。