幽玄 意味
- ゆうげん ◎
(1)奥深い味わいのあること。深い余情のあること。また,そのさま。
「―な調べ」「何処からともなく―な,微妙な奏楽の響きが洩れて来た/少年(潤一郎)」
(2)奥深くはかり知ることのできない・こと(さま)。
「自己の意思を通して―なる自然の真意義を捕捉することができるのである/善の研究(幾多郎)」「事神異に関(アズカ)り,或は興―に入る/古今(真名序)」
(3)優雅なこと。上品でやさしいこと。また,そのさま。
「内裏の御事は―にてやさやさとのみ思ひならへる人の云なるべし/愚管 4」
(4)中世文学・中世芸能における美的理念の一。余情を伴う感動。(ア)俊成の歌論では,静寂で奥深く神秘的な感動・情趣。(イ)正徹の歌論,世阿弥の能楽論では,優雅・妖艶な情趣。(ウ)為家の歌論,心敬の連歌論,禅竹の能楽論では,枯淡にして心の深い境地。ひえさびた美。
﹛派生﹜——さ(名)
- 幽玄体 ゆうげんたい ◎ 歌論でいう十体の一。甚深絶妙の余情美が妖艶繊細な感覚のなかで表れている詠風の歌。幽玄様。
- 幽深 ゆうしん ◎ 静かで奥深い・こと(さま)。 「―なる瞑思を束縛され圧殺されたり/欺かざるの記(独歩)」
- 幽欝 デプレッション; 幽愁; 鬱憂; 鬱病; 憂欝; 鬱気; 憂鬱; 抑鬱; 憂愁; メランコリア; 沈鬱; 気鬱症; 鬱症; 抑欝; 暗愁; 意気銷沈; 欝; 気鬱; ディプレッション; うつ病; 気欝; 陰鬱; 鬱; 欝病; 陰欝; 沈欝; うっ気; メランコリー; 沈鬱さ; 意気阻喪; 幽鬱; 憂鬱さ; 愁情; 抑鬱症; 抑欝症; 憂うつ; 意気消沈; 悲哀; 欝気; 陰鬱さ
- 幽棲 幽栖
- 幽王 ゆうおう (?-前771) 中国,西周の最後の王。第一二代。褒姒(ホウジ)を寵愛して后にしようとしたため,正妃の父申侯が犬戎(ケンジユウ)と結び,周を攻め,西周は滅びた。
- 幽栖・幽棲 ゆうせい ◎ 俗世間を離れて静かに住むこと。また,閑静な住まい。
- 幽界 ゆうかい ◎ 死んでから行くといわれている世界。あの世。黄泉(ヨミ)。冥土(メイド)。 ⇔顕界(ゲンカイ)
- 幽栖 幽棲
- 幽篁 ゆうこう ◎ 奥深く静かな竹やぶ。
例文
- 幽玄な芸風で、松本長と並び称された。
- 工芸品、幽玄剣(ファントムブレード)を使う。
- 正式タイトル名は、幽玄杯精鋭リーグ戦である。
- 幽玄・枯淡を基調とする二条派の歌風を踏襲する。
- 著作に「微味幽玄考」がある。
- 当時の貴族・武家社会には、幽玄を尊ぶ気風があった。
- 躪口を通過する事で、幽玄の侘の世界に入ることができる。
- 実体のない幽玄紳士。
- 京都が見せる凛とした表情や、幽玄の情景を撮り続けている。
- 能楽宗家の父を持ち、生きながら冥界と交信を持てる幽玄の子。